岩手県・八幡平リゾートで今季初の爽快カービング

日記

2020年滑り初めとして、1月3日~5日の3日間、岩手県の八幡平リゾート(パノラマ・下倉スキー場)で滑ってきました。

1月3日(金)

八幡平リゾートは、岩手山の北麓に広がる八幡平温泉郷の一角にあります。アクセスは盛岡駅から路線バスで約2時間。バスは高速には乗らず下道を走ります。高速と違って防音壁に車窓が遮られないので、右手には姫神山の優美な姿を眺めることができ、飽きることがありません。

車窓からの姫神山。帰路にて撮影
車窓からの姫神山。帰路にて撮影

八幡平温泉郷は山奥にあるものだと勝手に予想していましたが、周囲は意外に開けた地形であり解放感があります。八幡平リゾートには「パノラマ」と「下倉」の2つのスキー場があり、リフト券は共通。初日はまずパノラマスキー場から滑ることにしました。

パノラマスキー場のベース。
パノラマスキー場のベース。

天気は雪。岩手山の山頂はガスに覆われていましたがスキー場は視界良好で、眼下には確かに「パノラマ」が広がっていました。

パノラマスキー場上部からのパノラマ。
パノラマスキー場上部からのパノラマ。

事前に調べてはいましたがパノラマスキー場は事実上全コースが初級者向けの斜度ですね。あえて言うなら第2ペアリフト沿いのパノラマAコース上部がやや斜度がありますが、それでも緩い。逆に言えば初心者・キッズ天国であり、ベースエリアにはキッズパークや初心者練習ゾーンが充実しているので、ファミリーや初心者中心のグループには最適なスキー場と言えそう。メインのクワッドリフトがフード付きなのもありがたいです。

幅広でロングな緩斜面が揃うパノラマスキー場。背後は岩手山。
幅広でロングな緩斜面が揃うパノラマスキー場。背後は岩手山。

あと特筆すべきは、ナイターゲレンデが公称2600mもあるという点。ただしこの数字は相当盛っていると思われ、地図で測ると2000m程度ですが、それでも十分長いですね。

この日のコンディションは、ところどころブッシュが出ていたり小石が転がっていたりすることもあり、新板で滑るのはややリスキー。ただしそれよりも問題なのは、積雪が少ないために地形の細かな凹凸がそのまま雪面のうねりとして出ており、高速で滑っていると時折弾き飛ばされそうになること。まあ逆に考えれば、これは道路のシケインのように滑走者に減速を促す効果をもたらしており、ゲレンデでの衝突事故防止に一役買っていると言えなくもないかもしれません。

ブッシュや小石が目立つコンディション。
ブッシュや小石が目立つコンディション。

2時間弱滑ったら飽きてしまったので、シャトルバスに乗ってもう一つの下倉スキー場に向かいました。こちらは縦に長いレイアウトのゲレンデで、上部は「下倉の壁」※1正式にはダイヤモンドコース。という非圧雪急斜面を擁し上級者が満足できるコース、一方下部は初級ゲレンデが充実しており、規模は小さいながら誰でも楽しめるゲレンデという印象。

下倉スキー場のベース。パノラマと比べるとシンプル。
下倉スキー場のベース。パノラマと比べるとシンプル。
「下倉の壁」の上に立って。
「下倉の壁」の上に立って。

パノラマスキー場よりも奥まったところにあり、地形的にもパノラマよりも降雪量が多いのか雪面のブッシュはごく一部にあるのみで板の心配をせずに滑ることができました。

この日は時間的に偵察する程度でしたが、明日・明後日はこちらの下倉で滑ろうと決めました。

この日は14時頃と早めに上がったのですが、その理由は、バスに乗って下倉スキー場よりもさらに奥にある秘湯・松川温泉に行くため。狭い林道を走るため通常のバスではなく小型のボンネットバスで運行されており、これに乗車するのも楽しみの一つでした。が、これに接続する盛岡市内からのバスが、市街地の渋滞のため20分以上の遅延。こうなると、入浴してしまうと折返しの最終バスに乗れないので、温泉行きは断念せざるを得ませんでした。

とはいえ、「八幡平温泉郷」の名は伊達ではなく、私が宿泊したペンションを含む各戸には源泉からパイプラインで温泉が給湯されており、宿にいながらにして源泉かけ流しの温泉が楽しめてしまいます。無色透明ながら硫黄臭のする熱い湯につかり、充実の「アフタースキー」を過ごすことができました。

1月4日(土)

2日目朝、八幡平温泉郷にあるペンションの窓からの眺め。
2日目朝、八幡平温泉郷にあるペンションの窓からの眺め。

前夜から雪が降り続き、パウダーを予感させました。下倉スキー場のベースにあるパウダーステーションでファットスキーをレンタル。しかしながら、レンタルした板がワックスを剥がし忘れており、全く滑らない(スケーティングしても踏み出した足がその場でビタっと止まってしまう)状態。ワックスを剥がしてもらっている間に完全に出遅れ、下倉の壁の新雪はすでに「まだら模様」となっていました。

Salomonの今はなきROCKER2(182cm)をレンタル。
Salomonの今はなきROCKER2(182cm)をレンタル。
あらかた食い尽くされた「まだらパウ」。
あらかた食い尽くされた「まだらパウ」。

それでもできるだけ端の方を狙い2本ほど滑り、そこそこ楽しめましたが、体力的にきつく、すぐに自分の板に履き替えました。ちなみにツリーランエリアはまだ積雪不足のためオープンしていませんでした。

下倉で普通の板で滑るのなら、一番楽しめるのはホワイトコースですね。上半分は途中に大きなうねりのある中斜度のバーン。このうねりにトップスピードで突っ込むと結構飛べます。そして下半分はストレートな急斜面。ガチ目な人たちはみんな下倉の壁かホワイトコースを滑っていました。下部の急斜面部分は迂回もできるので中級者からOK。この日は前夜積もった雪がところどころ溜まっており、フルスピードで飛ばすのは我慢せざるを得ませんでしたが、雪が軽いので十分楽しめました。

ホワイトコース。
ホワイトコース。

次に楽しいのは大外を回るシルキーコース。コースマップを見ると、ここを滑ってしまうと第2ペアリフトまで戻らないといけないように見えますが、実際には途中林の中をトラバースする道があり(入り口には看板が立っている)、第3ペアリフト一本で回すことができます。

午後になると天候が回復し、眼前にそびえる岩手山や山麓の風景が見えてきました。天気が良くなると気分も乗り、結局リフトストップ直前の15時45分ごろまで滑ってしまいました。

うっすらとではあるけれどその全身を見せてくれた岩手山。
うっすらとではあるけれどその全身を見せてくれた岩手山。
下倉の壁からの眺めもいい感じに。
下倉の壁からの眺めもいい感じに。

1月5日(日)

最終日。この日も下倉で滑ります。

昨日の午後は天気が回復しましたがそれも一時的なものだったようで、この日はふたたび雪。

ですが、夜間の降雪はそれほど多くなかったようで、この日は圧雪バーンの滑走が気持ちよさそう。思えば今シーズン、中斜度以上の斜面を、雪溜まりにやられる心配無しに思い切りカービングできる日はこれが初めて。というわけで、ホワイトコースを猿のように回します(笑)。

ホワイトコースでカービング三昧。
ホワイトコースでカービング三昧。

実はここまで2日間滑っていて、なんか納得行かないというか、「こんな感じだったっけ?」と思いながら滑っていた面があったのですが、その正体が3日目(シーズン通算滑走8日目)にしてようやくわかりました。それは

上体の前傾姿勢を忘れていた

ということ。

思えばシーズン初めから背筋が筋肉痛になっていなかったので「お、少しは陸上での筋トレが効いたかな?」と思っていたのですがそんなわけはなく、単に前傾姿勢を忘れていたがために背筋が使われていなかっただけの話だったんですね。

前傾姿勢を思い出してからはようやく、「うんうん、カービングってこんな感じだった!」という感覚が戻ってきました。こうなるとますますサル化が進み、昼食も取らずにひたすらホワイトコースを回すモードに入ります。

荷造りやバスの時間の都合上、13時30分頃には撤収しなければならないのが惜しまれましたが、まあよく滑りました。そしてこの3日間、一時的に晴れた2日目午後を除き、ほぼ雪が降りっぱなし。それもチラチラ舞う程度ではなく本気の降りだったので、だいぶ積雪が増したのではないかと思います。異常高温の12月で出鼻を挫かれた今シーズン、まだまだ降ってほしいですね。

ますます勢いが増す雪の中、バスに乗って東京への帰路につきました。

ガンガン雪が降る中、3日間の滑走を終える。
ガンガン雪が降る中、3日間の滑走を終える。
盛岡駅へと向かうバス。
盛岡駅へと向かうバス。

八幡平リゾート(パノラマ・下倉スキー場)の感想

この正月連休、雪不足で滑れるスキー場が少ないため、首都圏からのアクセスが良いかぐらや白馬などのスキー場は地獄のような混雑に見舞われたようですが、この八幡平リゾートはずっと空いてました。リフト待ちなんて皆無だし、ゲレンデ上でも同時に視界に入る滑走者は多くて3~4人程度。混雑嫌いのスキーヤー・スノーボーダーにはおすすめです※2ただしパノラマ・下倉ともパークが無いため、パーク派には満足できないでしょう。

アクセスは、新幹線利用の場合東京から約4時間志賀高原へ行くのと大して変わりません。あの安比に近いロケーションのため雪質も申し分無しです。

それと、バスの経路上に陸上自衛隊岩手駐屯地があるせいか、自衛隊員と思しき人(板が真っ白でやたらとバスケットの大きいストックを使っているのでわかる)も滑りに来ていました。また下倉の壁を果敢に攻めるテレマーカーやスノースクートライダーもいたりで、小さい割にはなかなかの濃いメンツ(?)が揃うスキー場のようです。

ところどころでブッシュや石があったため、板へのダメージが心配されましたが、片方の板に縦に長めの溝が彫られたぐらい(「ぐらい」と言ってしまっていいのかわかりませんが…)でした。まあこれは覚悟の上で持ち込んだので「良し」です。

   [ + ]

1. 正式にはダイヤモンドコース。
2. ただしパノラマ・下倉ともパークが無いため、パーク派には満足できないでしょう。

日記