ピボットエントリーカービングという概念

アルペンスキー動画紹介

海外の動画で、Pivot Entry Carving(ピボット・エントリー・カービング)というものを紹介しているものがある。

このPivot Entry Carvingという言葉が、海外においてある程度一般的な用語なのか、それともこれらの動画の投稿者(同一のアカウントである)による造語なのかは定かでないが、言葉はともかく技術の実体としては、日本においても多くの上級スキーヤーが急斜面でのスピード制御の方法として取り入れているものと思われる。

ただ、この滑り方が、「指導の現場」で取り上げられることはまだまだ少ない。おそらく、(少なくとも)日本ではこの滑り方に「名前がまだ無い」ことが、その一因ではないかと思われる。

ピボットエントリーカービングとは、いわゆる「谷回りでずらし、山回りでカービングする」滑り方だが、谷回りでのずらし部分をテールスライドではなく、コブへの入り方みたいなピボット操作、すなわち「ブーツを中心に、トップとテールを同じだけ振る」操作として行っているのが特徴。

グリップするタイミングも、スキーが横になってからではなくスキーがフォールラインを向いたあたりでグリップさせる。これがいわゆるウェーデルンとの違いだ。

下の動画は最初に紹介した2つとは別の投稿者のもので、Pivot Entry Carvingという言葉は使っていないが、同様な滑り方をしている。

これらの滑り方は、谷回りでずらしてブレーキをかけるというよりも、切り替え後の谷回りをカットして即山回りに入り、谷回りという加速局面を極力短くすることで、スピードを抑えるという考え方になる。谷回りが短い分、山回りという減速局面を長く取ることが可能になるという二次的効果もある。

単に抑速のための技術にとどまるものではなく例えば前に紹介したヒルシャーのノーズ・ウィリーもこれの延長線上にあると見ていいだろう。

「ピボットエントリーカービング」という名前と概念は、日本のスキーヤーの間にもっと広まってよいと思う。