結局のところX脚とは何なのか
ここまでスキーにおけるX脚というものを考察してきて、一つの結論というかまとめのようなものを書ける段階に達したと思う(もちろん「最終結論」ではない)。
まず、X脚というものに対して、スキーヤー(指導者を含む)の間でも統一されていない複数の定義がある、ということが言えそうだ。
1.両すねの内傾角度が異なる
最も単純な条件だ。条件が単純ゆえ、「当てはまってしまう」人の数も多い。この条件のみでX脚を判定するなら、トッププロですらX脚、ということが起こり得てしまう。
この定義でのX脚に当てはまるシルエット
2.両すねの内傾角度が異なり、両すねの間(膝下)に三角形の隙間ができる
1に加えて「膝下の三角形の隙間」の有無を条件とした定義だ。
この場合、すねの角度が異なっても、なんとかして膝下に隙間を見せないようにすればX脚とは言えなくなる。井山敬介選手の技術の一部はそのことに注がれているのではないか、ということを先の記事で考察した。だがこれは、高速になればなるほど常人には難しい技術でもある。
この定義でのX脚に当てはまるシルエット
この定義でのX脚に当てはらないシルエット
3.両すねの内傾角度が異なり「膝下に三角形の隙間」ができ、なおかつ両脚の膝より上の部分には隙間が無い
2に加えて、「両脚の膝より上には隙間がない」こと、言葉を換えて言えば「腿がくっついている」ことを追加の条件とした定義だ。この場合、2よりも当てはまる人は少なくなる。脚が細い人はこの条件ならば「脱X脚」できる可能性が高い。
この定義でのX脚に当てはまるシルエット
この定義でのX脚に当てはらないシルエット
1~3の3つの定義はどれも「脚の状態」にしか言及されておらず、スキーの状態やスキーの挙動については一切問われていなかった。1~3の中で「見栄え」を比べるなら、3が最も見栄えが悪く、次に2。1についてはほとんど見栄えへの影響は無く、それがX脚(の一種)であるという認識すら持たない人がほとんどだろう。
次に挙げる4つ目の定義は、これらとは違い、スキーの状態や挙動によってX脚かどうかを判別するものである。
4.両すねの角度が異なることによって両スキーの角付け角が異なっている
これは、海外のWebサイトで言及されていたことだ。
この条件では、たとえすねの角度が異なろうが膝下に三角の隙間が空こうが、両スキーの角付け角がほぼ一致していればX脚ではない、少なくとも「悪いX脚」ではない、ということになる。
さて、4つの定義のうち、いったいどれを「採用」すべきだろうか。
見栄えを重視する基礎スキーを志向するのでない限り、やはり4だと思う。また、将来的に基礎スキーを志向するとしても、初習段階ではやはり1~3の定義でのX脚を気にするよりは、4の定義で滑りを見るべきだろう。
ディスカッション
コメント一覧
初めまして。
4年前に準指を取った者(37歳男)です。
昨日スキークラブの合宿で動画撮影を行いチェックしたところ、自分の滑りでは「膝下の三角」が目立つことが話題になり、その解消が目下直近の目標となりました。
色々と検索していたところコチラにたどり着きまして、ブログの記事の中の動画はまだ見ていませんが、非常に興味深く読ませていただきました。
僕は意識し始めたばかりなので、自分なりの考えにまだ至っておりませんが、色々と試行錯誤していきたいと考えております。勝手ながら続きも楽しみにしておりますので、今後ともよろしくお願いします。
ぐんさん
コメントありがとうございます。少しでも参考になればこの上ない幸いです。
シーズンも後半(雪の状況的には「終盤」?)に差し掛かってきましたが、この後もよいシーズンを過ごすことができますよう願っております。
夏場にラグビーをしているため、僕も身長に比べて体重過多です。そのためか、骨格のためかはわかりませんが、リフトに乗ったときもスキートップは外を向きます(笑)
あるある!と思いつつ、他の記事も読ませていただきました。
コメントありがとうございます。
ラグビーとは素晴らしいですね!リフトでトップが開くと、一人でリフトに乗っているときはいいですが、隣に人がいるときはちょっと気を使っちゃいますよね(笑)
書いてある内容が少しでも参考になれば、とてもうれしく思います。