秘密の動き:「遅い」プレッシャー
これは「我が意を得たり」の動画。
日本スキー界では、レーシング・基礎にかかわらず「谷回りのできるだけ早い段階からプレッシャーをかけていくべき」という信仰が根強い。スキー検定小回りでのお決まりのダメ出し文句の一つとして「後半にプレッシャーが集中してしまっている」というものがあるぐらいに。そしてどうやらそれは世界でも同じらしい。それに対して「でも実はそうじゃないんだよ」と説いているのがこの動画。
英語だが、説明は字幕なので一時停止しながら見れば理解しやすいと思う。
ターン始動後いきなりプレッシャーを求めるべきではない、というのは、私が最近心がけていることと一致し、頷けるものであるが、この動画で惜しむらくは「なぜ早い段階でプレッシャーをかけるべきでないのか」に言及されていないことだ。
これは私なりの解釈だが、ターン前半、谷回りというのは、「位置エネルギーを運動エネルギーに変換するフェーズ」と捉えている。
そのフェーズで強くプレッシャーをかけると、抵抗が生じてしまう。また、当然ながらスキーの旋回も速くなるので、谷回りフェーズの時間も短くなってしまう。これは谷回りをカービングで行った場合でも、ずらしを交えて行った場合でも、程度の差こそあれ同様だ。
谷回りで十分に「自由落下」してこそ、その後のマキシマム(最もスキーをたわませたい瞬間)で強い圧をスキーに与えることができる。谷回りで与える圧は、角付けしたスキーのセンター部にできた隙間を「埋める」のに必要十分なだけの加重量に留めるのが理想的たろう。
そして、マキシマムの位置をフォールライン通過直後の高い位置に設定するか、ポール脇の低い位置に設定するかは状況次第だが、いずれにしてもマキシマムが来るのは「谷回り」の区間ではない。
一時期言われた「谷回りを長く」だとか「落差を大きく」というのは、最近ではあまり言われなくなってきたようだが、速く滑り鋭く曲がるということを目的に設定するなら、まったくもって正しいことだと思う。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません