月別アーカイブ: 2018年11月

身体とX脚の関係についての動画紹介

投稿者: | 2018年11月12日

「スキー X脚」をキーワードにYouTubeを見ていたら発見した動画。

下に埋め込んでいるのは「診断編」だが、続編として「理論編」「実践編」「ケア編」もある。

理論編 実践編 ケア編

私の知る限り、「体のつくり」と「マテリアル」の観点からスキーのX脚について解説している唯一の動画シリーズ。X脚に悩む人には個人的に一番おすすめしたい動画だ。

ただ、気になったのは、最初のオーバーヘッドスクワット(0:59~)で膝が足の中指よりも内側に入る現象を「身体の動きのクセによる」と表現している点。本当に「クセ」の場合もあるだろうが、体の構造上そうしないとできないからそうしている、という可能性は考慮しなくていいのだろうか。

私が実際にこれをやってみたところ、当然膝が中指よりも内側に入った。さらに、膝が中指より内側に入らないようにやってみたところ、膝と足首に明らかな痛みが走った。この状態で、膝が内側に入るのを「クセ」と表現できるものなのかどうかは疑問である。

後半(7:32~)で登場する「ニーバルガス」という現象はまさに私の体に当てはまる現象のように思った。ちなみに自分自身のQアングルを大雑把に測ってみたところ、17.5度で、動画内で「正常範囲の上限」として示されている15度を上回っていた。さらに、大腿と下腿の外反角(膝関節の接続角度)は160.5度。こちらは標準が170~175度(Wikipedia調べ)となっているので、かなり強度の「自然X脚」のようだ。

「実践編」で改善トレーニングが紹介されているので取り組んでみようと思う。といっても骨の形までは変えようが無いのであまり期待はせずに…。

【動画】X脚が必要・必然となる身体特性―股関節外旋位と膝下O脚

投稿者: | 2018年11月11日

スキーにおいて、X脚というのは一般に良くないこと・克服すべき課題として理解されている。しかし、体のつくりによってはX脚となることが必要であり、必然である場合もあるかもしれない。

私が考える、X脚が必要・必然となる体のつくりとは、「股関節外旋」「膝下O脚」である。

このことについては、以前の記事でも触れたが、動画としてまとめた。内容的に重複する部分もあるが、現時点での考えとしてはこんな感じ。

あくまで専門家でない一個人が、自分自身の体を観察して気づいたことをまとめたものなので、その点はご承知いただきたい。

一点補足すると、足首はブーツに包まれているので、動画のように素足で動いたときほど明確な角付け差は現れないと思われる。ただしスキーブーツにも弾性はある(外からの力によって変形する)し、またブーツの中で足首は完全に固定されるわけではないので、影響が全く無いとも言えないと考えている。

後は、このように「体のつくり」によってX脚になることの弊害は無いのかどうかについても、いずれ動画を作ってまとめたい。

スキーに大きな力を伝える必要性

投稿者: | 2018年11月7日

よく、スキーにどうすれば大きな力が伝わるか、について議論の対象となる。

「母指球荷重ではなく踵荷重にすれば大きな力が伝わる」だとか「上下動をすれば大きな力た伝わる」だとかいろいろな視点があるが、それらの妥当性については今は扱わない。

ここでは「スキーに大きな力を伝える必要がなぜあるのか」について考えたい。

以下はすべて仮説です。

定説は「スキーを大きくたわませるため」だが、たわみ量の決定要因として「力の大きさ」の優先順位は高くなく(人間ほどの重量がある物体なら不足することは少ない)、他により大きな影響を与える要因があるということを、以前の記事で考察した(1)(2)

結論を言うと、スキーに大きな力を伝える能力というのは、すなわち「たわみを作る速さ」を向上する能力であるというのが現時点での私の考えだ。

また別の記事で、スキーを角付けしてから、たわみが生まれるまでの間には、スキーの剛性に応じたタイムラグがあるという点に触れた。簡単に繰り返すと、スキーには物体としてある程度の「固さ(変形しにくさ)」があるので、角付けによってスキーのセンター付近にスペース(「たわみしろ」)が生じてから、そのスペースを「埋める」ようにたわみが形成されるの間には、長かれ短かれ、必ずタイムラグがある、ということだ。

ゆっくりとスキーを角付けしていくときにはこのタイムラグはさほど問題にならないが、短時間に大きく角付けする場合には、単に傾いただけでは、角付けされたのにたわみができていない「スキマ時間」ができてしまう。この間というのは、遠心力と内傾角が釣り合わない不安定な状態なので、角付けしたらできるだけ速やかにたわみを形成させることが安定につながる。この目的を達成するため、脚部の伸展運動によってスキーを雪面に強く押し付け、スキマ時間を最小化する必要がある。これが、「荷重」に加えて板にプラスアルファの力を能動的に与える「加重」の技術の目的だ。

角付けからたわみ形成までのタイムラグが短ければ短いほど、ターンの中で最も深く傾く局面(ターンマキシマム)に到達するのに必要な合計時間も短くできるということで、すなわちターンスピードの向上、あるいはタイトなラインをクリアする能力の向上につながる。

素早くたわみを作りたいなら、剛性(正確にはフレックス剛性=たわみ剛性)の低い柔らかい板を使うという方法もあり得る。トーション剛性(=ねじれ剛性)との兼ね合いや、外乱(雪面の凹凸など)への耐性といった要因も絡むが、レーサーや上級スキーヤーがフレックス剛性の強い板を使う最大の理由は、たわみというものが「サイドカーブ半径縮小効果」をもたらすだけでなく、「エネルギー貯蔵庫」としての効果を持つからだろう。

スキー(のたわみ)は「板バネ」としての性質をもつ。スキーの剛性が強いということは弾性が強いということ、すなわち変形を加えたときに元の形状に戻ろうとする力が強いということだ。たわみとその解放は、変形とその復元ということで、エネルギーの貯蓄と放出として見ることができる。同じたわみ量であっても、「柔らかい」スキーより「固い」スキー板のほうが、強い力で復元しようとする。すなわち多くのエネルギーを貯蔵できるというわけだ。

曲がるという行為はどうしても減速を伴う。スキーヤーは重力によって加速されているので、ターンしたからといって必ずしも減速はしないが、その場合でも、加速に使えたはずのエネルギーの一部を曲がるために使ったことになるため、曲がらなかったときほどの加速は得られない。しかし、ターンの間に何らかの形でエネルギーを「貯蔵」しておくことができ、それをターンが終わったときに取り出すことができれば、減速分を完全に取り戻すには至らずとも、ある程度のスピードを取り戻すことができる。

この発想に基づき、スキーの中により多くのエネルギーを貯蔵しようとしたとき、たわみ量を大きくするか、フレックス剛性を高くする(弾性を強くする)かの選択肢があるわけだが、たわみ量は角付け量によって限界が規定されるので、フレックス剛性を高くするという手法が選ばれる。これが、レーサーや上級スキーヤーが固い板を使用する主な理由というわけだ。

角付け角と最大たわみ可能量の関係

投稿者: | 2018年11月6日

前の記事で、スキーをたわませる量に、スキーにかける力の大きさはあまり影響が無い(人の体重ほどの物体であれば問題なくたわむ)ということを書いた。

これをある程度定量的に検証したい。

といっても、たわみ量の決定式には、弾性係数だとか断面二次モーメントだとかいったデータも必要になってくる。さすがにこれらの数字はメーカーから公表されていないし、実測するだけの器具も能力も持ち合わせていないので、ここでは「ある角度で角付けしたとき、最大何mmたわませることが可能か」を幾何学的に計算することにしたい。

経験のあるスキーヤーなら、この数値を見れば、「これくらいならたわませることができそうだな」とか「これだけたわませるにはただ体重を乗せるだけでは足りなそうだな」などとある程度の勘が働くものと思う。

検証対象としては、実際のスキー板のプロフィールを借用する。

NORDICA DOBERMANN SL R FDT(165cm)

SL準レーシングモデルだが、基礎スキーヤーにも人気のショートターンモデルだ。

サイドカットは120mm-69mm-104mm。これを床に横向きに立てて置いたとき、トップとセンターとテールが描く弧が、床との間に空ける隙間が最も広い部分は17mmから25mmの間となる。

正確な数字ではないが、ここでは隙間の最大幅は中間を取って21mmとする。これを雪面に対して角付けした状態が下の図だ。θが角付け角。aがそのときの「最大たわみ可能量」だ。

三角関数により、a(mm)=21×tanθと計算できる。

下の表が、角付け角10度刻みでの最大たわみ可能量の計算表だ。

θtanθ最大たわみ可能量(mm)
100.17633.70
200.36407.64
300.577412.12
400.839117.62
501.191825.03
601.732136.37
702.747557.70
805.6713119.10

30度スキーを傾けたときで約1.2cm、50度なら2.5cmほどたわませることができれば、板が「たわみ切る」ことになる。角付け角が大きく(深く)なればなるほど、指数関数的に最大たわみ量は増加する。60度ぐらいまでであれば比較的用意にたわみ切らせることができそうだが、80度も傾けて滑るとなると相当な加圧が必要になるだろう。なお、実際の滑走では、雪面を「彫り込む」形となるので、これらの数値よりも若干大きなたわみ量が可能となるはずだ。

板を壁に立てかけて手で押す程度でも、数cmはたわませることができるはずだ。であれば、人間の体重の半分以上が乗る外スキーをたわませることは、踵だの母指球だのと細かいことにこだわらずとも、正しい方向から正しい場所に乗りさえすれば、十分にたわむということが推定される。

なお、手元の板でごく大雑把に実験してみたところ、5cmのたわみを作るのに必要な荷重は約30kgだった。計算上、体重60kgの人がしっかりと体重の半分以上を外スキーにかければ、板を70度ほども傾けたとしても十分にたわませることが可能、ということに理論上はなるわけだ。

では、スキーヤー特にレーサーには必須とされる、脚部の伸展による加重操作、いわゆる「スキーを踏む」操作は全く不要なのかというとそういうことは無く、能動的にスキーに圧を与えることは「たわませる速さ」を高めることに寄与する、と私は考えている。これについてはまた別の記事で考えを述べることにしたい。

2018セルデン女子GSの分析動画

投稿者: | 2018年11月5日

オーストラリアのデモンストレーターReilly McGlashan氏による、2018-19シーズンワールドカップ女子GS開幕戦(セルデン)でのテッサ・ウォーリー選手の滑りの分析解説動画。英語だが、要所には字幕も出るので非英語話者にもわかりやすい。

ボコボコのアイスバーンという非常に厳しいコンディションの中で、いかにしてスピードを失わず、高いラインを保って滑り切ることができたかを解説している。キーワードとなっているのは”touch” “relaxed” “not so hard on skis”といった言葉たちだ。

「力を入れる」「フォームを固める」方向性に偏った日本基礎スキーとは真逆にあることがわかる…と言うと基礎スキーヤーに反感を買いそうだが、日本基礎スキーがそうなるにはちゃんとした理由があって、それはそもそも基礎スキーというのが平均未満の体格の人々をメインプレーヤーとする競技だからだろう(技術選トップ選手の身長・体重を調べてみると面白いのでおすすめ)。

スキーには、「強い圧をかけられないことの弊害」「強い圧をかけすぎることの弊害」がそれぞれあるが、多分彼ら(基礎トップおよびエキスパートスキーヤー)にとって、後者の弊害を感じることはほとんど無いのではないかと思う。私のようなデブにとっては、後者の弊害をいかにして回避するかが目下の課題であり興味の対象だ。

もう一つこの動画で、解説はされていないものの私の興味を引いたポイントがある。この部分の切り替え動作で、明らかに谷スキー(それまでの外スキー)へのプレッシャーを途中で「放棄」して山スキーに乗り換えている。「山回りを最後まで仕上げる」というのも日本基礎スキーの半ば「常識」とされる滑り方だが、このバンピーな条件でそれにこだわっていたら永遠に切り替えできないだろう。この意味(山回りの途中放棄もあり得る)では、かつてのハイブリッドスキーイング時代の「谷回りの連続」も、正しかったのかもしれない。伝え方が圧倒的にまずかったが。