2種類の外傾

投稿者: | 2018年10月22日

以下はすべて仮説です。

直立姿勢とストレート内傾時の重心位置

スキーを履いて平坦な雪上に直立しているとき、両方のスキーがフラットに雪面に接しており、スキーヤーの重心は体の中心線上、へその下あたりにある。もちろん重心位置は体格により個人差があるが、「左右の中心にある」という点は、特殊な条件(片腕が無いなど)の場合を除いて変わらない。

その姿勢のままで左右に傾くと、角付けされたスキー板(以下断りが無い限り、スキー板とは「外スキー」を指すものとする)の前後軸中心(左右方向における「中央」)を起点として垂直に伸びた線上よりも、重心は内側にあることになる。わずかではあるが、内倒しているということが言える。

スキーをたわませるための外傾

スキーをよくたわませるためには、角付けされたスキー板の前後軸中心から垂直に伸びた線上に重心を配置したい。そのためには、直立姿勢、いわゆるストレート内傾よりもわずかにターン外側に重心を移動させる必要がある。このような理由で作られる外傾姿勢を「スキーをたわませるための外傾姿勢」と呼ぶことにしたい。

スキーをたわませるための外傾姿勢は、これも個人差はあるものの、ブーツと外股関節と内肩が一直線上に並んだフォームになることが多い。これが俗に言われるパワーラインである。ただし、体格や骨格によっては、それよりも少ない外傾量もしくは多い外傾量が、「スキーの中心から垂直な線上に重心を配置する」ためのフォームとなる場合もあるので、絶対視する必要は無い。

スキーをたわませるための外傾姿勢として適切な姿勢が取れているかどうかチェックするには、その姿勢でターンしながら小さく屈伸運動をしてみるとよい※1大きく屈伸しすぎると、脚部を伸ばしたときに遠心力が失われて内倒するので、小さな屈伸運動でよい。。屈伸運動をしても、左右方向のバランスが崩れないならば、適切な外傾量である。もし姿勢を低くしたとき(屈伸の「屈」の際)に、ターン外側に引っ張られるような感覚があるならば、外傾過多。逆に、ターン内側に倒れてしまいそうな感覚があるならば、外傾過小(内倒)である。

これはなぜかというと、スキー板から垂直の線上に重心があるならば、屈伸運動をしたときに、重心とスキー板の距離は近くなったり遠くなったりするが、スキー板と重心を結ぶ線の角度は変わらないからだ。外傾過多または内倒の場合、屈伸運動をすることでスキー板と重心の距離だけでなく、スキー板と重心を結ぶ線の角度が変化してしまうので、左右のバランスが崩れる。

この理由により、外傾過多や内倒気味の人は、上下動が十分にできなくなってしまう傾向にある。外傾過多の状態で重心を低くしようとすると、ターンの外側に体が引っ張られれてしまうので、どうしても脚部を突っ張って内傾角を維持しようとしてしまう。すなわち上下動の「下」の姿勢に遷移できない。上下動が使えないのでスキーをたわませるのにも不利だし、見た目的にも脚部のストロークを見せられないので、主観的な負荷感覚の割に運動量が少なく見える。内倒の人はちょうどこの逆で、重心を低くしようとするとターンの内側に倒れてしまいそうになるので、重心が低いポジションに遷移できない。

話が少しそれたが、ターン中に軽く屈伸する方法で、外傾量をチェックするのがおすすめだ。

切り替え準備のための外傾

さて、「外傾過多だと体がターン外側に引っ張られる」と書いたが、そのことが「弊害」ではなく「利点」になる局面も存在する。それは、ターンのマキシマムを過ぎて切り替えに向かう場面だ。

切り替えでは重心を谷側=ターンの外側に移動させたい。その準備として、スキー板の角付けは維持しつつも重心だけがターンの外側にある状態をつくっておく。人間には筋力というものがあるので、ある程度であればそのような状況にも耐えることができる。その状況から、「耐えていた力」を抜けば、そのままエッジが緩み重心が谷側に移動する。これがスムーズで素早い切り替えをアシストしてくれる効果をもたらす。

この、切り替えをアシストするための準備動作として、あえて過剰な(スキー板から垂直な線よりも重心が外に出る)量の外傾を取ることを「切り替え準備のための外傾」と呼ぶことにしたい。

ターン始動直後からマキシマムまでは「スキーをたわませるための外傾」、マキシマムから切り替えにかけては「切り替え準備のための外傾」と使い分けることができれば理想的と言える。

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1. 大きく屈伸しすぎると、脚部を伸ばしたときに遠心力が失われて内倒するので、小さな屈伸運動でよい。

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