ブーツ製作カウンセリングを受けてきた結果

投稿者: | 2018年7月23日

来期に向けてスキーブーツを新調することにした。

手始めに、東京都板橋区でスキーブーツ設計・製造ショップ Ski Boots R&Dを 営む山本和男さんに、ブーツ購入とチューンナップについてのカウンセリングを受けてきた。

カウンセリングといっても、各種機器を用いた測定、私の脚(足)の3Dモデルをコンピュータ上に作成するための脚部の写真撮影など、事実上もうチューンナップの最初の段階を行ってきたような形だ。

と同時に、私がこれまでこのブログで書いてきたような、自分なりに自分の脚部を観察した結果をぶつけ、それについてスキーブーツ専門家としてのコメントをいただくこともできた。

結論としては、私の脚(足)の形状は、問題無いし、それほど特異なものでもない、とのことだった。脚(足)は正常だし、もちろん履いているブーツも正常なもの。ただし、正常な足で正常なブーツを履いていたとしても、それらのミスマッチによって問題が生じるということはあり得るし、実際私にはそれが起きている、というのがR&Dの山本さんの言であった。

それは具体的には以下のようなものだ。

注:以下の文章は、カウンセリング結果として聞いた内容をそのまま記述している部分と、私なりに「解釈」して記述している部分が混在します。そのため解釈の誤りが含まれる可能性がありますが、その責任は山本さんではなく私にあります。

まず、足首関節が、ほとんどのブーツが設計上想定する位置よりも内側に寄っている。それに伴って、足の親指側の輪郭を形成する筋肉(母指外転筋)の位置も、標準より内側寄りになっている。このため、足の内側のラインが、通常よりも「出っ張った」形状になっており、標準的な設計をされたブーツシェルに足を入れた場合、足が外側に「押し出される」形となる。結果、足がブーツの中で外傾した状態になっている。「インエッジが立ちにくい」という症状は、これに起因している。

私自身は、インエッジが立ちにくいのは脛骨が外側に湾曲している(膝下O脚)ためだと自己分析していたのだが、そうではないというのがカウンセリングの結果わかったことだった。

足が外に向けて押された状態となっているもう一つの影響として、股関節が強制的に外旋した状態にされてしまっている。股関節が外旋した、いわゆるガニマタの状態は、上半身と下半身の「力のリンク」が途切れてしまった状態である。すなわち下半身の力は上半身に伝わりにくく、上半身からの力も下半身に伝わりにくい。例えば野球の打撃でも、地面を踏み蹴る役割を持つ軸足(キャッチャー側の脚)をガニ股に開いて打つ選手はまずいない※1昔、種田という選手が非常に珍しい両脚ガニ股フォームで有名だった。が、彼が「有名」なほどの変則フォームだったということが、本来ガニ股がいかに不利かということの証左になる。ことからもそれがわかる。また、股関節が外旋状態にあると、屈伸運動がしにくく、上下動が十分にできなくなってしまう。

このような、股関節外旋の弊害に対する無意識の「防御反応」として、股関節を内旋させる動作を常に行いながら滑ることになる。これが、膝を捻りこむような動きとして外見に現れるのがX脚の要因。また、常に股関節を内旋させるように力を使っているので、ふとしたことでテールがずれる場面が多い。それをブロックするため、過剰な外向を取ることが多い。

ここまでが、「足首関節が標準より内側にある」ことに起因する諸々の現象だ。「現象」と書いたが、私は山本さんに自分の滑りの映像や写真は一切見せていない。にもかかわらず、「X脚」「外向過多」などといった私の滑りの傾向を見事に言い当てられ、非常に驚いた。まあバーナム効果という言葉もあるにしても、「なぜそうなるのか」の根拠からしっかり説明していただけたため、納得性は高かった。

次に、第2の私の脚の特徴として、ふくらはぎの筋肉量が多いため、標準的な設計のブーツを履いた場合、その分脛骨が前に押し出され、前傾角度が想定より深くなってしまっている、ということが挙げられた。そのため前荷重過多となり、スキーのテール側を押さえることができず、しっかりスキーをたわまませることができない。しっかりスキーをたわませることができないので、ターン後半で自分で思ったほどスキーが前に出てこず、切り替え直前に外スキーを「引っ張り上げる」ような動きでつじつま合わせをする傾向がある(これも見事に私の滑りに「的中」している)。

以上がカウンセリングの結果でわかった私の脚の特徴だ。

かくのごとくであるので、前の記事で書いたような、ブーツにカントをつける、といった対策は一言も話が出なかった。ブーツのシェルが私の足を内側から押し出しているならば、そうならないようにブーツのシェルの形状を変えればいいわけで、わざわざシェルの「外」で何かをする必要は無い、というわけだ。

前後の角度については、個人的には前傾が強い方が安定して滑れる感触が強かったのだが、真逆の見立てとなったことは少し意外だった。

さて、ここからはブーツの選択の話である。

これも結論から言ってしまうと、ブーツは「なんでもいい」とのことだった。結局、どんなブーツも、そのブーツの設計者が想定した通りの脚の人というのはまずいない、というのが山本さんの長年の経験から出た言葉だった。人の脚というのは、例えば「30代・日本人・男性」といったカテゴリに絞ってみたとしても、非常にばらつきが大きく、「平均」を出してそれに合うブーツを作ってみてもあまり意味が無い(それが完璧にフィットする人がいないというだけでなく、まあまあ近い範囲でフィットする人、ですらかなり少ないらしい)。

であれば、結局、「再設計・製造」を行うことを前提として、好きなブーツを選んでよいのではないか、というのが山本さんの言だった。

ただし、ブーツには「形状」以外にも設計要素があって、それは、どのような運動をすることを前提として設計されているか、という思想の違いみたいなものだ。今までとは別の思想に基づいて設計されたブーツに変えることによって、滑りがよくなる可能性もあれば悪くなる可能性もある。ただ、ある程度の年齢になると、変えることによるメリットが得られる可能性は減少していくし、変えた後のブーツのメリットを享受するための自分自身の「慣れ」や「調整」にも時間がかかるようになる傾向がある、とのことだった。

私は今のNordica Dobermann GPの挙動に不満は無いので、この点については「変えない」こととした。ただ、私の体重であれば、ワールドカップモデルの方がよいとのことだった。フレックスはポール中心なら130、フリーも重視するなら110で、中間の120は、製造工程での個体差によるブレの可能性も考慮すると、あまりおすすめできないとのことだった。

結論としては、今現在私が使っているNordicaというメーカーを踏襲しつつ、その中で山本さんがおすすめするモデル、Dobermann WorldCup 130を購入し、それをベースに再設計・製造を依頼することにした。

(今後の経過も、随時アップしていけたらと思っています。)

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1. 昔、種田という選手が非常に珍しい両脚ガニ股フォームで有名だった。が、彼が「有名」なほどの変則フォームだったということが、本来ガニ股がいかに不利かということの証左になる。

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