外傾にもデメリットがあるかもしれない

2018年6月13日アイディア書き溜め

以下は全て仮説です。

外傾は外向と並んでスキーの基本であり、すべてのスキーヤーが身につけるべき技術であることに異存は無い。

ただし、外傾姿勢にも弱点はある、と思っている。弱点を把握し、外傾姿勢を使う「場面」と「量」を的確に判断できるようになることが望ましいと考える。

以下、私の考える外傾姿勢の弱点。

(1)過度な外傾は角付けを弱める効果がある

過度な外傾姿勢を取ると、重心とスキーを結ぶ線がスキーの面に対してオフセットされてしまうという話を前に書いた。このとき、スキーが効率的にたわまないという悪影響があることを書いたが、その他に、過度な外傾姿勢のもとでは、スキーの角付けを弱めようとする力―あるいはスキーヤーの体を起こそうとする力と言い換えてもいい―が働くことにもなる。

ターンによって遠心力がかかっている状態のスキーヤーには、遠心力によってつくられた見かけ上の重力というのが働く。重心からこの見かけの重力の方向を向く線の上にスキー板があれば、「見かけの体重」の全てがスキー板に伝わるが、この線がスキー板からずれた方向に向いている場合、「見かけの体重」の一部のみがスキー板に伝わり、残りは角付けを弱めスキーヤーの体を起こそうとする力として働く。

このことは、山回りでは有利に働く。山回りというのは「これからスキーの角付けを弱めいていきたい」「これから体を起こしていきたい」場面だからだ。もしくは、スキーをあまりグリップさせたくない場面、強い角付けをしたくない場面でも有利に働く。しかしそれ以外の場面、すなわち谷回りからフォールラインにかけてしっかりとスキーをグリップさせたい場面では不利に働く。

谷回りからフォールラインにかけての局面で、強い外傾姿勢によってバランスを保とうとするスキーヤーはしばしば、上記の働きによって角付けが外れてしまいそうな感触に襲われ、もっと角付けを強めようと、腰をターンの内側に入れる。それによってさらに外傾が強まり、角付けを弱めようとする力も強まる。これを感じたスキーヤーはさらに腰をターン内側に入れ…という悪循環が発生する。

谷回りからフォールラインにかけてスキーをしっかりグリップさせたい場合、外傾姿勢に頼らず、重心を低くすることによって大きな内傾角に対するバランスを取れる技術を身につけることが必要かもしれない

(2)股関節をロックする効果がある

外傾姿勢には、股関節(特に外股関節)を「ロック」する効果がある。強い外傾姿勢を取るとその瞬間外脚は伸展・屈曲・外旋・内旋・外転・内転といった動きの自由度を大幅に失ってしまう。

床の上で、通常の姿勢と、左右どちらかに上体を大きく傾けた姿勢を取ってでそれぞれ屈伸運動をしてみると、上体を傾けた姿勢では通常の姿勢ほど大きな屈伸はできず、無理に大きく屈伸しようとすると股関節や膝関節に過負荷による痛みが発生する。

ターンマキシマムの瞬間は姿勢がブレない方がいいので「ロック」されてもいいかもしれないが、それ以外の、脚部の伸展運動によりスキーに積極的に加圧していきたい場面や、様々な外的要因に対してリアルタイムでスキーを微調整していくべき場面ではこれは不利に働く。場合によっては危険にもつながる。

 

私は、不整地など滑走性より安定性を求める場面を除き、ターン中で明確な外傾姿勢を取るのは、ターンマキシマムの一瞬のみ、となるよう心がけている。もちろん、谷回りのストレート内傾に近い姿勢からマキシマムの外傾姿勢へと「遷移」する時間というのは必要なので、外傾姿勢を「取り始める」身体動作は、フォールライン付近から開始している。そのため外見的にはフォールラインからすでに外傾しているように見えるかもしれないが、主観的にはあくまでそれは準備動作だ。「はい外傾!」と「キメ」るのはターンマキシマムの一瞬のみ。マキシマムを過ぎたらすぐにスキーの角付けを弱め、脚部を起こしていくので、必然的に外傾は弱まっていく。

まとめると、「外傾はするけれど、その量はターン中固定せず、外傾量0(切り替え)〜最大(ターンマキシマム)の間を常に『流転』している」といった感じかもしれない。

2018年6月13日アイディア書き溜め